エクセルで自信喪失!プロマネ現場最前線からの報告
「自信が鍵」という古い格言ほど、プロジェクト業界に当てはまるものはありません。しかし、多くのプロジェクト型組織では、プロジェクトやポートフォリオのデータに関する明確かつ正確な全体像を把握できず、自信を持つことができていません。その原因は、多くの場合、サードパーティ製ソフト、自社開発のソリューション、そしてMicrosoft Excelといった分断されたツール群を使って大型プロジェクトを管理していることにあります。本記事では、その中でも特にExcelに焦点を当てます。
誰もがExcelを使ったことがあるはずです。柔軟で、プロフェッショナルな環境で誰もが馴染みのあるツールです。そのため、プロジェクト型組織はついプロジェクト管理にExcelを使用してしまいます。確かにExcelは便利で有用なツールですが、プロジェクト管理専用に設計されているわけではありません。そのため、Excelには、文書管理、リソース計画、リスク管理など、プロジェクトの成功に不可欠な業務プロセスが備わっていません。
この記事では、大規模な資本プロジェクトの管理にExcelを使用することで、なぜ従業員やステークホルダー全体の自信が損なわれるのかを解説します。その上で、目的別に設計されたプロジェクト管理ソリューションを導入することで、プロジェクトの成功率を最大化し、ビジネス目標の達成を支援する方法を紹介します。
Excelはプロジェクトデータの手動管理と集計を必要とする
Excelはプロジェクトデータの入出力を自動化しません。そのため、すべてのデータを手動で入力・出力する必要があります。プロジェクトのライフサイクルを通じてデータ量が増えると、信頼できるデータ環境の維持が困難になります。人的ミスがプロジェクトデータに影響し、分析に耐えない無効な情報になる可能性が高まります。
Excelでは、インサイトを得るためにプロジェクトデータを手動で集計する必要があり、専門家の時間と才能を低付加価値な作業に費やすことになります。ダッシュボード機能も標準搭載されていないため、データを外部に出力・加工しなければならず、その過程で再び人的ミスが発生するリスクもあります。
Excelでは透明性を確保できない
すべてのステークホルダーがプロジェクトデータを可視化できるべきですが、Excelで管理すると、その情報はプロジェクト担当者を通じてしか共有されません。プロジェクト管理に特化したソリューションとは異なり、Excelにはダッシュボードがなく、各ステークホルダーのニーズに合わせて、彼らにとって最も重要なプロジェクトデータの明確でパーソナライズされたデータビューを提供することができません。そのため、進捗状況を正確に把握できず、関係者が情報から取り残されることになります。
Excelでは、疑問が生じたときにプロジェクトデータを深掘りすることができません。要約データのみを含むレポートに制限されるため、プロジェクト担当者はネガティブな成果の原因を特定し、是正措置を迅速に講じることが難しくなります。この可視性の欠如は、最終的に遅延やコスト超過などの問題を引き起こします。
この問題は、Excelで必要なレポートを作成するのにかかる時間によってさらに深刻化します。月次コストレポートの作成に数週間もかかると、情報がタイムリーでなくなり、報告された問題への是正措置が不可能になる可能性があります。
これらの問題が組み合わさることで、関係者や担当者の主観によるバイアスが入り込む「見えない領域」が生まれます。この透明性の欠如は、プロジェクトの混乱や、関係者同士の責任の押し付け合いにつながります。ありがとう、Excel。
Excelは統合を妨げる
Excelはスタンドアロンのツールであり、他の主要なプロジェクト業界用商用ソフトウェアとの統合に適していません。実際、真の相互運用性がない場合、Excelは異なるシステム間のギャップを埋めるためのデフォルトソリューションとして使われがちです。
確かに、一部のシステムはExcelスプレッドシートからデータをエクスポート・インポートするように設計されることもありますが、それはあくまで一時的な対処法に過ぎません。プロジェクトやポートフォリオの重要なプロセスやレポーティングを支えるための機能が欠如している場合、その欠落によって発生する手動作業の多くを解消することはできません。
その結果、プロジェクトデータはサイロ化してしまいます。データが分断された状態では、組織はプロジェクトの進捗を明確に把握できません。こうした統合の欠如は、上述した手動管理や可視性の欠如の問題をさらに悪化させます。
Excelはセキュリティに不安が残るプラットフォーム
複数人で同時に作業をする場合、誰がどのファイルにアクセスして何を行っているかを簡単に把握する手段がExcelにはありません。これにより、変更の追跡が難しくなるだけでなく、セキュリティリスクも発生します。
誤って機密情報を開示した場合、顧客のセキュリティ要件を侵害する可能性があります。適切なアクセス制御システムがないと、機密情報や将来の計画が競合他社に漏洩し、競争上の不利を招く可能性があります。つまり、Excelには監査可能性と責任追跡性が欠如しています。
Excelは信頼性を損なう
Excelは、正確かつタイムリーな予測に基づくプロジェクトの予測可能性をサポートしません。遅延したり、隠れたエラーが含まれる情報は、あなた自身の自信や組織の信頼性を損ないます。前述の通り、Excelを使用すると、プロジェクト担当者は問題の原因を迅速に特定し、是正措置を取ることが難しくなります。
建設業界研究所(CII)によると、予測の差異が報告されるのは平均でプロジェクト期間の65%を経過してからだといいます。本来、このような差異はもっと早い段階で把握・報告されるべきです。この段階で計画コストと予想コストの差異が明らかになると、もはや修正は手遅れです。結果として、予想外のコスト増が突然発覚するのです。
しかし、関係者やプロジェクト責任者が最も嫌うのは予想外の出来事です。Excelを使用し続けることで、納期通りかつ予算内でプロジェクトを完了する企業ではなく、納期遅延や予算超過を繰り返す企業として知られるようになります。その結果、ビジネス機会を失い、収益が悪化します。
Excelからエンタープライズ・プロジェクト・パフォーマンスへの移行
Excelの問題に悩む人々にもまだ希望があります。プロジェクト業界のリーダーたちはエンタープライズ・プロジェクト・パフォーマンス(EPP)ソリューションに注目しています。EPPソリューションはExcelによる問題をすべて解消し、組織全体に再び自信を取り戻させます。EPPソリューションでは、デスクトップ生産性ツールの限界を克服したエンタープライズシステムの利点を享受しつつ、Excelの使いやすさと柔軟性を維持できます。要するに、プロジェクトライフサイクル管理システム全体を、一つの信頼性の高い強力なプラットフォームで実現できます。
著者について
James Tauladanは、エンジニアリング、建設、エンタープライズ・プロジェクト・パフォーマンスの分野で20年以上の経験を持つ、経験豊富な営業ディレクター兼デジタルトランスフォーメーションのリーダーです。